いま、百年以上かけてつくった国家のイメージが、亀裂の入った鏡のようになった時、われわれ日本人は、しばし辺りを、時間と空間を超越して見渡さねばならなくなった。中国 ...

根強い人気をほこる作家・遠藤周作の文学を「歴史小説」の視点から見直した意慾的な論集。詳細な遠藤周作研究参考文献目録を収載。

吉田悦志 215 第 6 章上司小剣の歴史小説 準」(志村有弘)の呪文的定式から一歩踏みだした論であろうか。* 2 ∞ *戦後になるが、千葉亀雄の「歴史小説」なども、「史実を重要視」するか、「史実を自由に想像化」するかは、歴史小説論においては、「むしろ ...

... 歴史小説で一般に読まれた物は殆んどないと思ふ。森さんの小説は寧ろ考証小説と言ってもよいと思ふ。現代人の興味に訴たへるよりも、森さんのは年とつてからの作で、どっちかといふと老人小説に近いと思ふ。だから君の意見は僕の歴史小説論にも全く其の ...

... 時代小説『歌麿』、ヨーロッパ型の伝記小説の試みである『ラグーザお玉』などを挙げ、「百花斉放である」と書いている。股旅小説『弥太郎笠』、歴史小説『楠木正成』などもこの年に発表されているので、たしかに伝奇小説だけが書かれていたわけではない ...

... 小説としての「吉野葛」」(「新潟大学国語国文学会誌」平 3.3 )。( 1 )谷崎の歴史小説論としては、「直木君の歴史小説について」(「文芸春秋」昭 8 ・ 1−9.1 )という長文の評論がある。直木三十五の出世作「南国太平記」(「東京日日新聞」「大阪毎日新聞 ...