ホーム > 商品詳細

丸善のおすすめ度

モーツァルトを「造った」男~ケッヘルと同時代のウィーン~(講談社現代新書 2096)

小宮 正安  著

在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 2週間  数量 冊 
価格 \836(税込)         

発行年月 2011年03月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 286p
大きさ 18cm
ジャンル 和書/人文科学/哲学/概論・参考図書
ISBN 9784062880961
商品コード 1000179248
NDC分類 289.3
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2011年04月5週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1000179248

内容

クラシックファンならずとも、モーツァルトの全作品にはK.**とかKV**などという番号が振られており、それをケッヘル番号と称することはご存じでしょう(たとえば交響曲第41番『ジュピター』はK.551)。誰から頼まれたわけでもないのに一作曲家の作品を調べ上げて分類し、番号を振る──。考えてみれば酔狂なことです。ケッヘルとはいったいどのような人物であり、どうしてこんな作業にとりかかったのでしょうか?


クラシックファンならずとも、モーツァルトの全作品にはK.**とかKV**などという番号が振られており、それをケッヘル番号と称することはご存じでしょう(たとえば交響曲第41番『ジュピター』はK.551)。
 誰から頼まれたわけでもないのに一作曲家の作品を調べ上げて分類し、番号を振る──。考えてみれば酔狂なことです。ケッヘルとはいったいどのような人物であり、どうしてこんな作業にとりかかったのでしょうか?
ルートヴィヒ・フォン・ケッヘルは1800年にオーストリア、ニーダーエスターライヒ州のシュタインという町で生まれました。彼はウィーンで法律を学び、やがてカール大公(オーストリア皇帝フランツ1世の弟)の4人の子どもたちの家庭教師となり、じゅうぶんな財政的な基盤を確立することができました。
ハプスブルク帝国はナポレオンに完膚なきまでに痛めつけられ、その後も人びとはメッテルニヒ体制の強権政治の下で生きることになります。軍事的に敗北した老大国の矜持はおのずと文化に向かいます。こうして「発見」されたのが、陋巷に窮死したといってもよいはずのモーツァルトだったのです。ザルツブルクに生まれ、ウィーンやプラハで活躍した彼を顕彰することは、オーストリアの文化的優越性を示すことにもなります。
しかし、モーツァルトの未亡人コンスタンツェや少数の友人たちが残された作品を分類はしてはいたものの、楽譜も散逸しており、どれが正真正銘のモーツァルトの作品であるかはハッキリしなくなっていました。
ケッヘルはこつこつとモーツァルトの真作を考証、626作品とし、それを時系列的に配列した作品リストを出版しました(K.626が彼の死によって未完に終わったレクイエム)。これこそがケッヘル目録と言われるものです。1862年のことでした。
なお、のちの研究によって作品の成立時期が見直されたり、作品が新しく発見されたりしています。どんなに批判にさらされようと、後世の私たちはこの人物の実に地味な作業が造り出した枠組みから逃れられることはできないのであり、その意味でケッヘルこそはモーツァルトを「造った」男と言っていいのです。
1877年に死んだケッヘルの人生を通じて大作曲家が「再発見」されていく風変わりなドラマと、ウィーン、ハプスブルク帝国の諸相を描きだします。

目次

カート

カートに商品は入っていません。