墨梅

墨梅
  

(1220×263㎜)
吉田蔵澤
天明元年(1781)60才頃

軸寸法 縦約208センチ 約横38センチ
初期の固い形式がとれ、幹の運筆にも生気が感じられ、構成にも自由さがある。
しかし「豫城温泉蔵澤漫興」とある落款の書体には一種の癖があり、品格にやや乏しい。
覚醒と混迷とが渾然としていることを、この作品がよく表している。
この時期蔵澤は代官職を辞し持筒頭を拝命、中央藩政に参画している。
当時の松山藩主が長崎奉行を勤めた関係で、長崎を起点にした中国南画を研究、
また学友の蔵山、明月らの影響を受けますます南画の制作に没頭した時である。

(C)2003.Ehime University Library