風竹

風竹
  

(1225×260㎜)
吉田蔵澤
天明元年(1781)60才頃

軸寸法 縦約186センチ 約横37センチ
若竹の風に騒ぐ一瞬の姿を、あたかも影を映すかのように背後の淡墨の竹と一対になって
活写している。
特に重なり合う竹の葉の筆使いが、この場の大気をも孕んで自在に描き出されていて、
大幹竹にはない細やかな情感表現の巧みさを感じさせる。
しかし全体の構成にはまだ固い形式にとらわれたところがあり、「如阿戒何」の詩句を併記し、
「筆硯精良人生一楽」の印を押すなど、遊戯気分の文人趣味がまだ残っているところから、
蔵澤60才にかかる頃の作品と推定される。

(C)2003.Ehime University Library